2012年02月02日

大阪都構想について考えてみる

先年度、圧倒的な得票率で当選いたしました橋下市長。

職務時間内に選挙活動をしていた公務員や、国旗・国歌に反対する教職員など、アレな人の腐敗の一掃を掲げるそのスタンスは幅広く評価されています。
一方、反橋下の立場をとっている人々には正直言って”アレ”な方々が多いという印象があり・・・。

彼率いる維新の会が国政選挙に出る云々などの事態になっております。

というわけで今回はその予習がてら、大阪都構想とは何なのかを勉強してみます。

まずは、ウィキペディアから主要な所を抜粋。

2010年(平成22年)3月、橋下知事(当時)を代表とする「大阪維新の会」が発表した行政構想。
大阪府全域を「大阪都」とし、大阪市・堺市を解消させ一体化させる大阪都構想を提唱した。
2015年までの実現を目指している。東京都をモデルとし、東京23区のように「大阪都20区」を設置。
東京都23区を例にすれば20区内の固定資産税・法人税などの収入を都の財源とし、20区内の水道・消防・公営交通などの大規模な事業を都が行い、住民サービスやその他の事業は20区の独自性に任せる。

URL:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E9%98%AA%E9%83%BD%E6%A7%8B%E6%83%B3

簡単に要約いたしますと、「大阪府を幕府、各地域を藩とする江戸時代の幕藩体制。んで府知事が殿様。区長が各藩の大名」という感じです。

高度に情報化社会&運送手段の発達した現代を江戸に例えるのはアレですので、アメリカの州制度を日本も導入しようぜ、という考えの方が近いかと思います。

ちなみに橋下市長のお言葉ですが、「大阪都構想をきちんと説明するには最低でも2時間はかかる」そうで。

さて、この大阪都構想が実現すると何が起こるのか、とりあえず大まかなところを考えて見ましょう。(というか具体的に何をどうするのかが示されていませんので定量的な分析のしようがありません

1.税収(財源)の変化。
 市町村の主な収入は税収です。その他、半公営の電力会社株の配当やら鉄道経営なども含まれますが、主な収益は税収。所得税と法人税、固定資産税、住民税、そして政令指定都市(50万人以上の大都市)にのみ許される税金として、事業所税というものがあります。

事業所税(PDF注意):http://jichisoken.jp/publication/monthly/JILGO/2011/07/thanya1107.pdf

 大阪市は政令指定都市の要件を満たしていますので、この点に関しては税収面での優遇があるということですね。(異論もあるかと思いますが)
 さて、これらの税収は、基本的に「国がこれだけ、地方はこれだけ」という取り分が決まっており、また国はマクロな視点から見ての「地方交付税」を地方に分配することで税収の少ない地域へのフォローを行っているわけです。
 これがまぁ、政治家の癒着問題やら族議員の腐敗云々やらと(いわゆる箇所付け問題とか)色々と言われてますが、それはさておき。

 大阪都構想、加えて道州制が採用されますと、まず間違いなく地方交付税がなくなります

 簡単な話で、税収の元となるGDPはほぼ一定なわけです。
「これからは地方分権の時代だ! 国が取ってる分を地方に移そうぜ!」とやると、そりゃ人口が多くてGDPが大きい大都市は、都市として見れば税収が増えます。で、その一方で国の税収が減る。足し算と引き算の問題ですね。税法を変えれば(消費税増税など)別ですが

 一方で、過疎地域などは確実にさびれます。だって国の手当てでようやくまかなえていた道路整備とかの予算がつけてもらえなくなるから。
 税収が少ないような効率の悪い地域は残らず消してしまえばいいんですね。ビバ・合理化。美しい国、日本。

 また、リニアモーターカー建設など、数兆円を必要とし、多くの県にまたがる事業は確実に実行不可能になります。1)財源の出し手がない(国の税収は地方に移したから) 2)どこかのアフォみたいな「俺の地域にも停車駅作れ」とゴネる地域が絶対に出てくる。(地方の権限が強いから)

 と・・・ここまで書いて「やっぱつるやって、橋下さんをdisるのが目的のカスだな」と言う声が聞こえてきました。脳内から。

 さて、続けてみます。

2.防災や道路整備、住民サービスの変化。
 まぁ当然ですね。税収だけ都市に移転して、金がかかるけど公共性の高い事業は国にやらせる、は通りません。
 水道・消防・公営交通などの大規模な事業を都が行い、住民サービスやその他の事業は20区の独自性に任せる、とあるわけですが・・・。

これ、東日本大震災クラスの大災害が来たらどうなるんですか? その復興も地方だけでやるんですか?

 国に金はありません。いや、国債刷ればいくらでもありますけれど。それ以前の条件として、「税収は地方に移転しているので、国はその分税収が少なくなっている」わけです。
 もしもそれが大阪で起こる地震ならば自業自得なのですが、別の地域で大災害が起こった場合、地方に税収をあけ渡している(都構想ではなく道州制までが採用された場合の話です)国に、丁寧なケアをする余裕は少ないでしょうし、かといって別の地方の知事やら市長さん方に、「災害が起こったんで渡した税収を返してください」なんて通るはずもありません。

3.まとめ
地域レベル(それもGDPが比較的大きい地域のみ)で見れば「税収増えたワッショイ!」で済むんでしょうけれど、過疎地域は一段と過疎になり、地方は大災害に対しての再生能力が脆弱となり、そして住民サービスについてもお金がある地域とない地域での差が非常に大きくなると予想されます。

「じゃあどうすればいいんだよ? 否定するなら対案を出せよ」とか言う問題ではなくこの構想は実行したらTPPのように国を破壊する危険性をはらんでいると言わざるを得ません。

これが”大阪都”までで、かつ税金の分配をこうします云々の計画が数値データで公表されているのならまた別ですが、地方分権を進め、道州制まで実現しようというのは現状で私が知っている情報を見る限りでは、非常に危険な計画であると言わざるを得ない、と思います。

まぁ、私は橋下さんをあまり好きではありませんし、あまりニュースソースを探す能力もないので、何か見落としている点があるかもしれないという点も否めませんが。

というわけで、都構想についての考察その1は以上です。今回の記事が参考になりましたら、下のバナーをクリックお願いします。
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posted by つるや(国会AA職人二代目) at 21:09| Comment(4) | TrackBack(0) | 政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
お疲れ様です。
>大阪都構想、加えて道州制が採用されますと、
とありますが都構想と道州制は分けて考えた方が良いのではないかと思います。

都構想は制度としては既に東京都という前例があるので、
基本的にはその構造を踏襲するんじゃないかと予想できますが、
道州制はそれこそ日本では全く前例が無く一からルールを決める事になると思います。

Posted by k at 2012年02月02日 23:26
投稿に失敗したので文章を分割しました。
(URLを貼れないのでしょうか・・・?)

都政のしくみについては東京都のサイトに説明があります。

ちなみに東京都の場合は
「都区財政調整制度」という地方交付税に替わる調整制度があるので、
基本的にはつるやさんの懸念されている過疎地域が寂れるといった事態の心配はないのではないかと思います。
(というか東京都という前例がある構造でそこまで地方自治がガタガタになるとは思えません。)

確かに道州制まで行くとつるやさんのおっしゃるような問題が噴出していくかと思います。
が、こちらは一から作るだけにそれこそ十分に吟味をすればいいんじゃないかとも思います。
Posted by k at 2012年02月02日 23:28
すみません、業者対策でURLは規制していました。

今日から試験的に解除してみます。

>ちなみに東京都の場合は
>「都区財政調整制度」という地方交付税に替わる調整制度があるので、
>基本的にはつるやさんの懸念されている過疎地域が寂れるといった事態の心配はないのではないかと思います。

情報どもです。
そこらへん、私も勉強不足でしたので、維新の会のマニフェストやら大阪都構想と東京都との違いやらを次は書いてみたいと思います。

>確かに道州制まで行くとつるやさんのおっしゃるような問題が噴出していくかと思います。
>が、こちらは一から作るだけにそれこそ十分に吟味をすればいいんじゃないかとも思います。

そうなのですが、「一回やらせてみればいい。駄目なら変えればいいじゃない」で痛い思いをしたので、次こそは慎重に行きたいものです。
批判論に対して全てが全て、「既得権益ガー」とするような傾向が維新の会に見えますので。私の色眼鏡からは。
Posted by つるや at 2012年02月03日 20:44
>「一回やらせてみればいい。駄目なら変えればいいじゃない」で痛い思いをしたので、次こそは慎重に行きたいものです。

これには同意見です。
「自民にお灸を」「いっぺん民主に」なんて言い草で当選した民主の末路は悲惨なものでした。
僕としては、政治にはビジョンが必要だと考えています。
アンチテーゼで選挙をしちゃあいけません。
だからこそ平松氏に一票を入れることは出来なかったんです。
平松氏は現職だったんだから、自分のこれまでの方針に胸を張って
その利点・正しさをとうとうと語るべきでした。

さて、「都区財政調整制度」ですが、
これは多分維新の会の目的の一つなんじゃないかと予想しています。
橋下氏は「都という名前にこだわるつもりはないです」と以前述べておられましたが、
実際には都である事が重要なんじゃないかと思います。
この制度の一番の特徴は、
・通常の地方交付税が国家によって分配量が決まるのに対し、
・「都区財政調整制度」での分配は都によって算定される
という事です。
加えて大規模な行政事務を都の主導で行うため、
都の影響力は府時代の比ではないほど大きくなるんじゃないかと思います。
つまり維新の会が都知事を押さえることで政治的な地盤がより強固になる、
というシナリオがあるんじゃないかなと推測しています。

橋下氏は大阪都構想を4年で行うと公言しております。
道州制のような新規の統治機構を制度から作ろうとしたら、
当然国政レベルでの大議論が必要になります。
最近維新の会は国政への参入を視野に入れてるようですが、
統治機構を一から作るには行動が遅過ぎると思います。
しかし、既存の統治機構を大阪に適用すると言うのなら話は別で、
国政での議論として必要なのは「大阪を2つ目の都にする」「特別区の分配」という2点のみとなります。
これなら細かいルールは都条例の範囲内で決めることで、橋下氏の狙う都構想は実現されます。

まぁあくまで推測なので、
実際の所は維新の会の人たちでないと分からないとは思います。
てんで的外れかも知れないので話半分でお願いします。
個人的には政治家はそれ位の野心を持っていてくれた方が好きですがww
Posted by k at 2012年02月05日 20:21
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